こんにちは、管理人です
新築のマイホーム購入は、人生における大きな節目の一つです。
しかし、その喜びと同時に、「この先、家に何か問題が起きたらどうしよう」という不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。
特に重要なのが、法律で定められた新築の10年保証の範囲です。
この保証は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づいており、建物の根幹をなす部分に重大な欠陥、すなわち瑕疵が見つかった場合に買主を守るための非常に大切な制度です。
具体的には、家の骨格である構造耐力上主要な部分や、雨漏りを防ぐ雨水の浸入を防止する部分が保証の対象となります。
一方で、外壁の軽微なひび割れや、給湯器といった住宅設備の故障、さらにはシロアリによる被害がこの保証に含まれるのかどうか、判断に迷うケースも少なくありません。
また、経年劣化や自然災害による損傷は保証の対象外となるなど、知っておくべき免責事由も存在します。
万が一、施工した事業者が倒産してしまった場合にどうなるのか、保証期間を延長するための手続きや費用はどのくらいかかるのか、といった点も気になるところでしょう。
この記事では、そうした新築の10年保証の範囲に関するあらゆる疑問や不安を解消するため、法律の基本から具体的な事例、注意点に至るまで、網羅的かつ分かりやすく解説していきます。
あなたの新築住宅での安心な暮らしを守るため、ぜひ最後までご覧ください。
◆このサイトでわかる事◆
- 新築の10年保証の法的な根拠(品確法)
- 保証の対象となる「構造耐力上主要な部分」の具体例
- 保証される「雨水の浸入を防止する部分」の詳細
- 保証の対象外となる具体的なケースと免責事由
- シロアリ被害や住宅設備の保証に関する扱い
- 施工事業者が倒産した場合の瑕疵保険による対応
- 保証期間を延長するための条件や手続き
-1024x499.jpg)

【PR】理想のマイホーム、何から始めますか?情報収集や住宅展示場巡りも大切ですが、「時間が足りない」「自分に合う会社が分からない」と感じていませんか? そんなあなたにおすすめなのが、完全無料で利用できる「タウンライフ家づくり」です。自宅にいながら、たった3分の入力で、全国1,190社以上の優良住宅メーカーの中から、あなたにぴったりの会社に「オリジナルの間取りプラン」「資金計画」「土地の情報」を一括で依頼できます。 届くのは、あなたの希望を反映した具体的な提案ばかり。複数の会社からの計画書をじっくり比較検討できるので、わざわざ展示場を回らなくても、効率的に理想の家づくりを進められます。厳しい基準をクリアした信頼できる会社のみが参加しているため、安心して相談できるのも嬉しいポイントです |
新築の10年保証の範囲を法律(品確法)から解説

◆この章のポイント◆
- 10年保証の根拠となる「品確法」とは
- 対象となる「構造耐力上主要な部分」
- 「雨水の浸入を防止する部分」も対象
- 対象外となるケースや免責事由
- シロアリによる被害は保証されるのか
- 事業者が倒産した場合の対応について
10年保証の根拠となる「品確法」とは
新築住宅の購入者が安心して暮らせるように、法律で定められた重要な制度が10年保証です。
この制度の根幹をなしているのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、通称「品確法」です。
2000年に施行されたこの法律は、住宅の品質を確保し、消費者が安心して住宅を取得できるようにすることを目的としています。
品確法が制定される以前は、住宅に欠陥が見つかった場合の責任の所在や保証期間が曖昧で、買主が泣き寝入りするケースも少なくありませんでした。
そこで、住宅の基本的な性能を明確にし、万が一のトラブルの際に買主を保護する仕組みとして、この法律が生まれました。
品確法の最も重要なポイントの一つが、新築住宅の売主(ハウスメーカーや工務店など)に対して、「瑕疵担保責任」を最低10年間義務付けた点です。
「瑕疵(かし)」とは、契約時に買主が通常の注意を払っても発見できなかった、住宅に存在する欠陥や不具合のことを指します。
例えば、住み始めてから雨漏りがする、家が傾いているといった重大な問題がこれにあたります。
この法律により、売主は引き渡しから10年間、住宅の特定の重要な部分に瑕疵が見つかった場合、無償で修補するなどの責任を負わなければならなくなりました。
つまり、新築の10年保証は、事業者が任意で提供するサービスではなく、法律によって定められた義務なのです。
この義務は、買主にとって非常に強力な保護となります。
もし、契約書に「保証期間は5年」といった特約が記載されていたとしても、品確法に反する買主に不利な内容は無効となり、法律で定められた10年間の保証が優先されます。
このように、品確法は新築住宅の品質に関する最低基準を定め、買主が長期にわたって安心して住み続けられるための基盤を築いていると言えるでしょう。
この法律のおかげで、私たちは構造上の安全性や雨漏りの心配といった重大なリスクから守られているのです。
対象となる「構造耐力上主要な部分」
新築の10年保証の範囲を理解する上で、最も重要なキーワードの一つが「構造耐力上主要な部分」です。
これは、品確法で定められた10年保証の核となる対象範囲であり、建物の安全性や耐久性に直結する部分を指します。
具体的にどの部分が該当するのか、正しく把握しておくことが大切です。
「構造耐力上主要な部分」とは、文字通り、建物の重さや地震・風などの力に耐え、家全体を支えるための骨格となる部分のことです。
もしこの部分に欠陥(瑕疵)があれば、建物の安全性が著しく損なわれ、最悪の場合、倒壊につながる危険性もあります。
そのため、法律で特に手厚く保護されているのです。
具体的には、以下の部分が該当します。
- 基礎:建物の土台となる部分です。鉄筋コンクリート造の布基礎やベタ基礎などがあり、建物全体の重さを地面に均等に伝える役割を担います。基礎にひび割れや傾き(不同沈下)が生じると、建物全体に歪みが生じる原因となります。
- 壁:耐力壁など、地震や風の力に抵抗するための重要な壁を指します。すべての壁が対象ではなく、構造計算上で建物を支える役割を持つ壁が該当します。
- 柱:建物を垂直に支える部材です。基礎からの力を屋根や梁に伝えます。柱の傾きや欠損は、建物の強度に直接影響します。
- 床:主に2階以上の床で、地震や風などの水平な力に対抗するための構造床(剛床)などが該当します。単なる床材ではなく、構造体として機能する部分です。
- 梁(はり):柱と柱の間に渡され、屋根や上階の床の重さを支える水平な部材です。
- 屋根版:屋根の下地となる構造部分です。屋根材を支えるだけでなく、建物全体の剛性を高める役割も持ちます。
- 土台:基礎の上に設置され、柱を支える水平な木材です。
- 筋かいや火打ち材など:柱や梁を斜めに補強し、地震や風による建物の変形を防ぐ部材です。
これらの部分に、施工不良による鉄筋の不足、コンクリートの強度不足、構造計算の誤りといった瑕疵があった場合、引き渡しから10年間は売主の責任で修補してもらうことができます。
一方で、内装のクロス(壁紙)の剥がれや、間仕切り壁の傷などは、この「構造耐力上主要な部分」には含まれないため、10年保証の対象外となるのが一般的です。
自分の家のどこが重要で、どこが保証されているのかを理解しておくことは、万が一の事態に備える上で非常に重要と言えるでしょう。
「雨水の浸入を防止する部分」も対象
新築の10年保証において、「構造耐力上主要な部分」と並んで、もう一つの重要な保証対象となるのが「雨水の浸入を防止する部分」です。
住宅にとって雨漏りは、建物の寿命を縮めるだけでなく、カビの発生による健康被害や、構造材の腐食を引き起こす深刻な問題です。
そのため、品確法ではこの部分の瑕疵に対しても、引き渡しから10年間の保証を義務付けています。
「雨水の浸入を防止する部分」とは、具体的に住宅の外側を覆い、内部に雨水が入ってくるのを防いでいる箇所のことを指します。
主な該当箇所は以下の通りです。
屋根
屋根は最も直接的に雨を受ける部分であり、保証の最重要箇所です。
屋根材(瓦、スレート、ガルバリウム鋼板など)そのものだけでなく、屋根材の下に敷かれている防水シート(ルーフィング)や、棟(屋根の頂点)や谷(屋根の面が交わる凹んだ部分)といった、雨水が集中しやすい箇所の防水処理も含まれます。
これらの施工に不備があると、雨漏りの直接的な原因となります。
外壁
外壁も屋根と同様に、住宅を雨風から守る重要な部分です。
サイディングやモルタル、タイルといった外壁材と、その下にある防水シートが対象です。
特に、サイディングの継ぎ目を埋めるシーリング(コーキング)の施工不良や、外壁のひび割れから雨水が浸入するケースなどが考えられます。
開口部
窓や玄関ドア、天窓(トップライト)といった開口部の周りも、雨漏りが発生しやすい箇所です。
具体的には、サッシと外壁の取り合い部分の防水処理や、防水テープの施工などが重要になります。
これらの部分に隙間があると、雨水が壁の内部に浸入し、構造材を腐らせる原因になりかねません。
これらの箇所に、契約当時には分からなかった施工上の欠陥(瑕疵)があり、それが原因で雨漏りが発生した場合、売主は10年間、無償で修理する責任を負います。
ただし、注意点もあります。
例えば、台風や豪雨といった想定を超える自然災害によって屋根材が飛んでしまい、そこから雨漏りが発生した場合は、施工不良ではなく自然災害が原因と見なされ、保証の対象外となる可能性があります。
また、ベランダやバルコニーの排水溝が、居住者の清掃不足によって落ち葉などで詰まり、オーバーフローして室内に水が入ってきた場合も、瑕疵ではなく維持管理の問題とされるでしょう。
あくまで「施工上の欠陥」が原因であるかどうかが、保証を判断する上での重要なポイントとなります。
対象外となるケースや免責事由
新築の10年保証は非常に心強い制度ですが、住宅に発生したすべての不具合が保証されるわけではありません。
法律で定められた「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵以外は、原則として対象外となります。
また、たとえ対象部分の不具合であっても、原因によっては保証が適用されない「免責事由」が存在します。
これらを正しく理解しておくことは、不要なトラブルを避けるために不可欠です。
保証の対象範囲外となる主なもの
まず、10年保証の対象範囲に含まれないものの代表例を見てみましょう。
- 住宅設備:キッチン、ユニットバス、トイレ、給湯器、換気扇などの設備機器は、10年保証の対象外です。これらは通常、メーカーが設定する1〜2年程度の保証期間が適用されます。
- 内装・仕上げ:壁紙(クロス)の剥がれや浮き、フローリングの傷や鳴き、建具(ドアやふすま)の立て付けの不具合などは、構造や雨漏りとは関係ないため対象外です。
- 外構:門、塀、フェンス、カーポート、植栽といった建物の外周りの部分は、住宅本体とは見なされず、保証の対象にはなりません。
- 地盤:地盤沈下は建物に大きな影響を与えますが、地盤そのものは住宅の一部ではないため、品確法の保証対象ではありません。ただし、地盤調査の結果に基づいた適切な基礎工事が行われていなかった場合は、基礎の瑕疵として保証対象になる可能性があります。
保証が適用されない「免責事由」
次に、保証対象部分の不具合であっても、売主が責任を免れるケース、すなわち免責事由について解説します。
最も代表的なのが「経年劣化」です。
どんな建物でも、時間の経過とともに自然に劣化していきます。
例えば、外壁のシーリングが紫外線で劣化してひび割れたり、外壁の色があせたりするのは経年劣化であり、施工不良(瑕疵)ではありません。これらは所有者が定期的にメンテナンスを行うべきものとされています。
また、「自然災害」も重要な免責事由です。
地震、台風、落雷、洪水、豪雪など、予測を超える規模の自然現象によって建物が損傷した場合は、売主の責任範囲を超えるため、保証の対象外となります。このような事態に備えるためには、火災保険や地震保険への加入が不可欠です。
さらに、「居住者の故意・過失や不適切な維持管理」も免責事由にあたります。
例えば、自分で壁に穴を開けてしまった、換気を怠ったために大量の結露やカビが発生した、屋根やベランダの排水溝の掃除を怠り雨漏りにつながった、といったケースです。
これらは売主の責任ではなく、住まい手の使い方や管理の問題と判断されます。
これらの対象外ケースや免責事由を理解し、何が保証され、何が自己責任でのメンテナンスや保険で備えるべきものなのかを区別しておくことが、新築住宅と長く付き合っていく上で非常に大切です。
シロアリによる被害は保証されるのか
新築住宅のオーナーにとって、シロアリ被害は非常に気になる問題の一つです。
木造住宅の土台や柱を食い荒らし、建物の耐久性を著しく低下させる可能性があるため、「シロアリ被害は10年保証の対象になるのか?」という疑問は多くの方が抱くことでしょう。
結論から言うと、シロアリによる被害そのものは、原則として新築の10年保証(品確法に基づく瑕疵担保責任)の対象外とされています。
なぜなら、シロアリの発生は、建物の周辺環境や自然条件に起因する「生物被害」と見なされることが多く、建物の初期の欠陥(瑕疵)とは直接結びつかないと考えられているからです。
品確法が保証する「構造耐力上主要な部分」の瑕疵とは、あくまで設計ミスや施工不良といった、建物を建てた事業者側に起因する欠陥を指します。
しかし、ここで重要な例外があります。
もし、シロアリの侵入や被害の原因が、明らかに建物の施工不良にあると認められた場合は、話が別です。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 防蟻処理の不備:建築基準法では、地面から1m以内の木部には防蟻措置を講じることが義務付けられています。この防蟻処理(薬剤の散布など)が行われていなかったり、不十分であったりしたためにシロアリが侵入した場合。
- 構造上の欠陥:建物の基礎に大きなひび割れがあったり、木材が直接地面に接するような構造になっていたりするなど、シロアリの侵入を容易にするような施工上の欠陥があった場合。
- 雨漏りの放置:雨漏りを放置した結果、木材が湿って腐食し、それを好むシロアリを呼び寄せてしまった場合。このケースでは、原因である「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵が問われることになります。
これらのように、シロアリ被害と施工不良との間に明確な因果関係が証明できれば、それは「瑕疵」に該当し、10年保証の対象として修補を請求できる可能性があります。
ただし、その因果関係を証明するのは容易ではない場合も多いのが実情です。
そのため、多くの住宅会社では、品確法の10年保証とは別に、独自の「シロアリ保証」を提供しています。
これは通常5年程度の保証期間で、定期的な点検を条件に、保証期間内にシロアリ被害が発生した場合の駆除や修復費用を補償するというものです。
新築を建てる際には、このシロアリ保証の有無や内容、保証延長の可否についてもしっかりと確認しておくことが、将来の安心につながります。
事業者が倒産した場合の対応について
新築住宅の10年保証について考えるとき、多くの人が抱く大きな不安の一つが、「もし、家を建ててくれたハウスメーカーや工務店が、10年の保証期間内に倒産してしまったらどうなるのか?」という問題です。
保証を約束してくれた事業者がいなくなってしまえば、万が一瑕疵が見つかっても、修理を請求する相手がいなくなり、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
結論から言うと、そのような事態に備えるためのセーフティネットが存在します。
それが「住宅瑕疵担保履行法」という法律です。
この法律は、品確法で定められた10年保証を、事業者が確実に履行できるようにするために制定されました。
具体的には、すべての新築住宅の売主や請負業者に対して、瑕疵の修補費用を確保するための「資力確保措置」を義務付けています。
この資力確保措置には、2つの方法があります。
- 保証金の供託:事業者が、法務局にまとまったお金(保証金)を預けておく方法です。倒産時には、この保証金から修補費用が支払われます。ただし、この方法を選択している事業者は比較的少ないのが現状です。
- 住宅瑕疵担保責任保険への加入:事業者が、国土交通大臣が指定する保険法人の「住宅瑕疵担保責任保険」に加入する方法です。ほとんどの事業者がこの方法を採用しています。
この「住宅瑕疵担保責任保険」こそが、消費者にとっての重要なセーフティネットとなります。
この保険に加入している住宅であれば、万が一、事業者が倒産してしまっても、住宅の購入者は保険法人に対して、瑕疵の修補にかかる費用(保険金)を直接請求することができるのです。
住宅の引き渡し時には、事業者から保険が付保されていることを証明する「保険付保証明書」が発行されます。
この書類には、加入している保険法人の連絡先などが記載されており、万が一の際に必要となる非常に重要な書類です。
必ず大切に保管しておきましょう。
この保険の対象となる範囲は、品確法で定められた「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵であり、10年保証の内容と基本的に同じです。
保険金の支払いを受けるためには、保険法人の現場調査など所定の手続きが必要になりますが、この仕組みがあるおかげで、事業者の倒産リスクを心配することなく、安心して10年間の保証を受けることができるのです。
したがって、新築住宅を契約する際には、事業者がこの住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置をきちんと講じているか、特に住宅瑕疵担保責任保険に加入しているかを必ず確認することが重要です。
具体例で見る新築の10年保証の範囲と注意点
◆この章のポイント◆
- 外壁や屋根の劣化は保証対象?
- キッチンや給湯器など住宅設備の保証
- 10年後も安心!保証期間の延長とは
- 不具合(瑕疵)が見つかった場合の手続き
- まとめ:新築の10年保証の範囲を正しく理解しよう
外壁や屋根の劣化は保証対象?
外壁や屋根は、常に紫外線や雨風にさらされているため、住宅の中でも特に劣化が進みやすい部分です。
そのため、「外壁に細かなひび割れが…」「屋根の色があせてきたけど、これって保証されるの?」といった疑問を持つ方は非常に多いです。
新築の10年保証の範囲において、外壁や屋根の不具合がどう扱われるのか、その境界線を具体的に見ていきましょう。
まず大前提として、10年保証の対象となるのは「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵、つまり施工不良が原因で雨漏りにつながるような欠陥です。
この観点から、保証対象となるケースとならないケースを分けることができます。
保証対象外となる可能性が高いケース(経年劣化など)
以下のようなケースは、一般的に「経年劣化」や「美観上の問題」と判断され、10年保証の対象外となることが多いです。
- 外壁のヘアークラック:幅0.3mm以下の、髪の毛ほどの細さのひび割れ。モルタル壁などでは乾燥収縮によって発生しやすく、構造や防水性能に直ちに影響を与えるものではないと判断されることが多いです。
- 色あせ(変色・褪色):紫外線や酸性雨の影響で、外壁材や屋根材の色が薄くなったり、変色したりする現象。これは避けられない自然な変化であり、性能上の欠陥ではありません。
- シーリング(コーキング)の劣化:サイディングの継ぎ目などに使われるシーリング材が、経年で硬化し、ひび割れたり肉痩せしたりする現象。シーリングの寿命は7〜10年程度と言われており、定期的なメンテナンスが必要な部分です。
- コケやカビの発生:日当たりの悪い北側の外壁などにコケやカビが生えるのは、環境的な要因が大きく、建物の瑕疵とは見なされません。
保証対象となる可能性があるケース(瑕疵)
一方で、以下のようなケースは、施工不良(瑕疵)が原因である可能性が高く、10年保証の対象となることがあります。
構造クラック:建物の構造的な問題が原因で発生する、幅0.3mm以上の大きなひび割れ。このようなひび割れは、雨水が壁の内部に浸入する可能性が高く、構造躯体を傷める危険性もあるため、瑕疵と判断される可能性が高いです。
シーリングの施工不良:引き渡しから数年といった早い段階で、シーリングが剥がれたり、切れたりした場合。これは、プライマー(接着剤)の塗り忘れや、シーリング材の充填不足といった施工不良が原因と考えられます。
屋根材や外壁材の明らかな施工ミス:屋根材の釘の打ち忘れや、防水シートの破れ、外壁材の重ね合わせ部分の施工ミスなど、明らかに施工基準を守れていない場合。これが原因で雨漏りが発生していれば、当然保証の対象です。
このように、外壁や屋根の不具合が保証対象になるかどうかは、「経年による自然な劣化」なのか、「施工不良による性能上の欠陥(瑕疵)」なのか、という点が見極めのポイントになります。
判断に迷う場合は、まずは施工した事業者に点検を依頼し、その原因を明らかにすることが重要です。
キッチンや給湯器など住宅設備の保証
新築住宅での生活を快適にする上で欠かせないのが、キッチン、ユニットバス、トイレ、給湯器、換気システムといった「住宅設備」です。
これらの設備は毎日使うものだからこそ、故障した際の保証がどうなるのかは非常に気になるところです。
しかし、ここで明確に理解しておくべき重要な点があります。
それは、これらの住宅設備は、品確法に基づく新築の10年保証の範囲には含まれないということです。
品確法が定める10年保証は、あくまで建物の根幹をなす「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵に対するものです。
住宅設備は建物本体とは別の「製品」として扱われるため、この法律の対象外となります。
では、住宅設備の保証はどのようになるのでしょうか。
通常、住宅設備には、その製品を製造した「設備メーカー」によるメーカー保証が付いています。
この保証期間は、製品によって異なりますが、一般的には引き渡しから1年から2年間とされることがほとんどです。
保証期間内に、取扱説明書に従った正常な使用状態で故障した場合は、メーカーが無償で修理や交換に応じてくれます。
例えば、以下のような形になります。
- システムキッチン:コンロ、レンジフード、食洗機など、各機器に1年のメーカー保証。
- ユニットバス:本体や浴槽、換気扇などに1〜2年のメーカー保証。
- 給湯器:1〜2年のメーカー保証。
- 24時間換気システム:2年程度のメーカー保証。
このメーカー保証期間が過ぎた後に故障した場合は、修理費用はすべて自己負担となるのが原則です。
給湯器や食洗機などは、10年前後で寿命を迎え、交換が必要になるケースも少なくありません。
その際の交換費用は数十万円に及ぶこともあるため、将来的な出費として計画しておく必要があります。
こうした短期的なメーカー保証を補うために、ハウスメーカーや設備販売店、保険会社などが提供する「住宅設備延長保証サービス」というものがあります。
これは、有料で加入することで、メーカー保証が終了した後も、5年や10年といった長期間にわたって設備の故障を保証してくれるサービスです。
保証料はかかりますが、突発的な高額出費に備えたいという方にとっては、検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。
新築計画時には、建物本体の10年保証と、住宅設備の保証は別物であることをしっかり認識し、それぞれの保証内容と期間を確認しておくことが大切です。
10年後も安心!保証期間の延長とは
新築住宅に義務付けられている10年間の保証期間。
この期間が終了する時期が近づくと、「10年を過ぎてから雨漏りや構造の欠陥が見つかったら、すべて自己負担になってしまうのだろうか」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
こうした不安に応えるため、多くのハウスメーカーや工務店では、10年の保証期間をさらに延長できる「延長保証制度」を用意しています。
この制度を活用することで、長期にわたる安心を手に入れることが可能です。
保証期間の延長は、自動的に行われるわけではありません。
延長を実現するためには、通常、事業者が指定する「有料のメンテナンス工事」を受けることが条件となります。
これは、保証を継続するにあたり、建物の健全な状態を維持するために必要な措置という考え方に基づいています。
具体的には、10年目のタイミングで事業者が建物の「有料点検(インスペクション)」を実施し、その結果に基づいて必要と判断されたメンテナンス工事を行う、という流れが一般的です。
主な有料メンテナンス工事の例
保証延長の条件として挙げられることが多いメンテナンス工事には、以下のようなものがあります。
- 外壁・屋根の再塗装:経年劣化した塗膜を塗り替えることで、防水性能を回復させます。
- シーリング(コーキング)の打ち替え:劣化したシーリングを撤去し、新しく充填し直します。
- 防蟻処理の再施工:シロアリを防ぐための薬剤を再散布します。薬剤の効果は通常5〜10年で切れるため、再処理が必要です。
- バルコニーの防水工事:FRP防水やシート防水のトップコートを塗り替えるなどして、防水層を保護します。
これらの工事費用は、建物の規模や仕様、劣化状況によって大きく異なりますが、数十万円から百数十万円、場合によってはそれ以上かかることもあります。
この費用を負担して指定の工事を行うことで、さらに10年間、保証が延長されるという仕組みです。
つまり、20年目まで保証が継続されることになります。事業者によっては、さらに20年目のタイミングでも同様のメンテナンスを行うことで、30年、あるいはそれ以上の長期保証を提供している場合もあります。
保証を延長するかどうかは、所有者の判断に委ねられます。
指定のメンテナンス工事を行わずに、保証を10年で終了させるという選択も可能です。
その場合、10年目以降に発生した不具合の修繕費用は、すべて自己負担となります。
将来の安心を買うという意味で保証を延長するのか、必要な時期に自分のタイミングで信頼できる業者にメンテナンスを依頼するのか、長期的な視点で資金計画を立て、検討することが重要です。
不具合(瑕疵)が見つかった場合の手続き
新築住宅に住み始めてから、万が一「これはおかしいな」と感じる不具合、つまり瑕疵の可能性がある事象を発見した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
慌てず、冷静かつ適切な手順で対応することが、スムーズな問題解決につながります。
ここでは、不具合発見から修補請求までの一般的な流れを解説します。
ステップ1:不具合の発見と記録
まず、雨漏りのシミ、基礎の大きなひび割れ、床の著しい傾きなど、瑕疵の可能性がある現象を発見したら、その状況を詳しく記録しておくことが非常に重要です。
スマートフォンやデジタルカメラで、日付が分かるように写真を複数枚撮影しましょう。
動画で撮影するのも有効です。
いつからその現象が起きているのか、どのような状況でひどくなるのか(例:大雨の後にシミが広がるなど)を時系列でメモに残しておくと、後の説明がスムーズになります。
ステップ2:事業者への連絡
次に、住宅を建てた、あるいは購入した事業者(ハウスメーカー、工務店、不動産会社)の担当窓口に速やかに連絡します。
電話だけでなく、後々の証拠として残るように、メールや書面で連絡するのが望ましいでしょう。
その際、ステップ1で記録した写真やメモを基に、不具合の状況を具体的かつ客観的に伝えます。
感情的にならず、事実を淡々と伝えることが大切です。
ステップ3:現地調査の実施
連絡を受けた事業者は、状況を確認するために現地調査の日程を調整してきます。
調査にはできるだけ立ち会い、発見した箇所を直接指し示しながら説明しましょう。
事業者は、その不具合が本当に瑕疵にあたるのか、原因は何なのかを専門的な見地から調査します。
調査後、事業者から原因や対応についての見解が示されるはずです。
ステップ4:修補の請求と協議
調査の結果、不具合が品確法に基づく瑕疵であると認められた場合、事業者はその修補計画を提示します。
工事の内容、期間、方法などについて十分に説明を受け、納得した上で合意します。
もし、事業者が瑕疵であることを認めなかったり、提示された修補方法に納得できなかったりした場合は、協議が必要になります。
ステップ5:第三者機関への相談(協議が不調の場合)
事業者との話し合いで解決しない場合は、第三者機関に相談するという選択肢があります。
まずは、各地の弁護士会などが運営する「住宅紛争審査会」に相談するのが一般的です。
ここでは、弁護士や建築士といった専門家が、あっせん、調停、仲裁といった手続きを通じて、紛争解決のサポートをしてくれます。
また、事業者が住宅瑕疵担保責任保険に加入している場合は、その保険法人に相談することも可能です。
不具合を発見した際は、とにかく一人で抱え込まず、まずは記録を取り、速やかに事業者に連絡するという初期対応が何よりも重要です。
まとめ:新築の10年保証の範囲を正しく理解しよう
ここまで、新築の10年保証の範囲について、その根拠となる法律から具体的な対象範囲、保証対象外となるケースや注意点まで、詳しく解説してきました。
マイホームは一生に一度の大きな買い物であり、長く安心して暮らすためには、この保証制度を正しく理解しておくことが不可欠です。
最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
新築の10年保証は、事業者が任意で提供するサービスではなく、「品確法」という法律で定められた義務であるという点が最も重要です。
この法律によって、買主は建物の基本的な安全性について、引き渡しから10年間、法的に保護されています。
保証の対象となるのは、建物の骨格である「構造耐力上主要な部分」と、雨漏りを防ぐ「雨水の浸入を防止する部分」の二つに限定されます。
基礎や柱、壁、屋根、外壁などがこれに該当しますが、キッチンや給湯器といった住宅設備や、内装の仕上げ、外構などは対象外となることを覚えておきましょう。
また、すべての不具合が保証されるわけではなく、経年劣化や自然災害、居住者の不適切な使用によるものは免責事由にあたります。
シロアリ被害も原則対象外ですが、施工不良に原因がある場合は保証される可能性も残されています。
万が一、施工した事業者が倒産してしまっても、「住宅瑕疵担保履行法」に基づく保険制度により、修補費用は確保されるため安心です。
そして、10年という保証期間は、有料のメンテナンスを条件に延長することも可能です。
新築の10年保証の範囲を正しく知ることは、将来の無用なトラブルを避け、適切な維持管理計画を立てる上で必ず役立ちます。
本記事で得た知識を基に、ご自身の家の保証内容を契約書や保証書で改めて確認し、安心で快適なマイホームでの生活を送ってください。
本日のまとめ
- 新築の10年保証は品確法に基づく売主の法的義務
- 保証対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」
- 基礎・柱・壁・梁などが構造耐力上主要な部分にあたる
- 屋根・外壁・窓周りなどが雨水の浸入を防止する部分
- 保証されるのは施工不良などの「瑕疵」が原因の場合のみ
- 経年劣化や自然災害による不具合は保証の対象外
- 住まい手の故意・過失や維持管理不足も免責事由
- キッチンや給湯器などの住宅設備は10年保証の対象外
- 住宅設備の保証は通常1〜2年のメーカー保証が適用される
- シロアリ被害は原則対象外だが施工不良が原因なら保証の可能性あり
- 事業者が倒産しても住宅瑕疵担保責任保険で補償される
- 10年目に有料メンテナンスを行うことで保証期間の延長が可能
- 不具合発見時は写真などで記録し速やかに事業者に連絡することが重要
- 事業者との協議が不調な場合は住宅紛争審査会などの第三者機関に相談できる
- 新築の10年保証の範囲の正しい理解が安心な住まいにつながる
-1024x499.jpg)

【PR】理想のマイホーム、何から始めますか?情報収集や住宅展示場巡りも大切ですが、「時間が足りない」「自分に合う会社が分からない」と感じていませんか? そんなあなたにおすすめなのが、完全無料で利用できる「タウンライフ家づくり」です。自宅にいながら、たった3分の入力で、全国1,190社以上の優良住宅メーカーの中から、あなたにぴったりの会社に「オリジナルの間取りプラン」「資金計画」「土地の情報」を一括で依頼できます。 届くのは、あなたの希望を反映した具体的な提案ばかり。複数の会社からの計画書をじっくり比較検討できるので、わざわざ展示場を回らなくても、効率的に理想の家づくりを進められます。厳しい基準をクリアした信頼できる会社のみが参加しているため、安心して相談できるのも嬉しいポイントです |
●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
横浜市のリフォーム補助金【2025年最新】種類や条件を完全ガイド
ハウスメーカーの10年保証を徹底解説!法律の義務から延長方法まで
●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
参考サイト
住宅瑕疵担保履行法について – 国土交通省
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
住宅保証機構株式会社
株式会社ハウスジーメン
株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)
コメント