介護しやすい家にリフォーム｜費用・補助金・場所別のポイント | 理想のマイホーム計画

こんにちは、サイト管理人です

ご家族の高齢化や、ある日突然訪れるかもしれない介護の必要性。今のお住まいで、安心して介助を続けられるだろうかと不安に感じていませんか。

介護しやすい家にリフォームすることは、介護される方の自立を助け、安全を確保するだけでなく、介護するご家族の身体的・精神的な負担を大きく軽減します。

しかし、いざリフォームを考え始めると、一体どこから手をつければ良いのか、費用はどのくらいかかるのか、利用できる補助金はあるのか、といった疑問が次々と湧き出てくることでしょう。

特に、介護リフォームの費用や、利用できる補助金の情報は、計画を立てる上で非常に重要です。

また、間取りの変更や、毎日使うトイレ、浴室といった水回りの改修は、生活の質に直結します。

手すりの一本を取り付けることから、段差解消のようなバリアフリー化、そして最適な業者選びまで、考えるべきことは多岐にわたります。

リフォームのタイミングを逃してしまうと、いざという時に慌ててしまい、満足のいく結果にならない可能性も否定できません。

この記事では、そのようなお悩みや疑問を抱える方々のために、介護しやすい家にリフォームするための具体的な知識とノウハウを網羅的に解説していきます。

最後までお読みいただくことで、漠然とした不安が解消され、ご家族にとって最善のリフォーム計画を立てるための、確かな一歩を踏み出せるはずです。

◆このサイトでわかる事◆

介護リフォームを検討すべき最適な時期
手すり設置や段差解消などの工事費用相場
介護保険の住宅改修費や自治体の補助金制度
後悔しないための信頼できるリフォーム業者の見つけ方
トイレや浴室など場所ごとのリフォーム成功の秘訣
安全な移動を確保するための手すり設置の注意点
介護動線を考慮した間取り変更のアイデア

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介護しやすい家にリフォームで知っておきたい基礎知識
場所別で見る介護しやすい家にリフォームの具体例

介護しやすい家にリフォームで知っておきたい基礎知識

◆この章のポイント◆

リフォームを考えるべき最適なタイミング
知っておきたい工事内容別の費用相場
活用できる補助金や介護保険制度
信頼できるリフォーム業者の選び方

ご家族のために介護しやすい家にリフォームすることを考え始めたとき、何から手をつければよいか戸惑う方は少なくありません。

この章では、リフォームを成功させるために不可欠な「タイミング」「費用」「補助金」「業者選び」という4つの基本的な知識について、詳しく解説していきます。

まずはこれらの基礎をしっかりと押さえることで、計画が具体的に進めやすくなるでしょう。

リフォームを考えるべき最適なタイミング

介護しやすい家にリフォームを検討する上で、その「タイミング」は非常に重要です。

適切な時期にリフォームを行うことで、ご本人の安全を確保し、介護する側の負担を効果的に軽減できます。

では、具体的にどのようなタイミングで検討を始めるべきなのでしょうか。

要介護認定を受ける前後のタイミング

一つの大きな目安となるのが、ご家族が「要支援」や「要介護」の認定を受ける前後です。

認定を受けるということは、日常生活において何らかの支援や介護が必要な状態であると公的に認められたことを意味します。

この段階で専門家であるケアマネジャーと相談し、ご本人の身体状況に合わせたリフォーム計画を立て始めるのが理想的です。

特に、介護保険を利用した住宅改修を検討している場合は、ケアマネジャーによる「理由書」の作成が必要不可欠となるため、早めに連携を取ることが大切になります。

入院や退院のタイミング

病気や怪我による入院は、生活環境を見直す大きなきっかけとなります。

退院後の生活が、入院前と全く同じように送れるとは限りません。

例えば、骨折によって歩行が不安定になったり、車椅子が必要になったりすることもあります。

入院中に医師や理学療法士から、退院後の生活に関するアドバイスを受け、それに合わせて住宅環境を整えることが求められます。

具体的には、退院日が決まった段階で、必要な手すりの設置や段差の解消などを済ませておくと、ご本人がスムーズに在宅生活へ移行できるでしょう。

介護する側の負担を感じ始めたタイミング

介護リフォームは、介護される方のためだけのものではありません。

介護をするご家族の負担を軽減するという、非常に重要な側面も持っています。

例えば、トイレへの移乗介助で腰に負担を感じるようになった、浴室での介助が一人では難しくなってきた、といったサインは、リフォームを検討すべき重要なタイミングと言えるでしょう。

我慢を続けていると、介護者が体調を崩し、共倒れになってしまう危険性もあります。

そうなる前に、介助がしやすい環境を整えることで、精神的にも肉体的にもゆとりのある介護が続けられるようになります。

まだ元気なうちからの予防的リフォーム

最も理想的なのは、介護が本格的に必要になる前の、まだご本人が元気なうちに将来を見据えてリフォームを行うことです。

「65歳」が一つの目安とも言われています。

年齢を重ねると、少しの段差でのつまずきが大きな怪我につながることもあります。

将来的に車椅子を使う可能性を考慮して廊下の幅を広げておく、今のうちから階段に手すりを付けておくなど、予防的な観点からのリフォームは、長く安全に自宅で暮らし続けるための賢明な投資と言えるのではないでしょうか。

ご本人の意見も聞き入れやすく、時間をかけてじっくりと計画を立てられる点も大きなメリットです。

知っておきたい工事内容別の費用相場

介護しやすい家にリフォームする際、最も気になるのが費用ではないでしょうか。

工事内容によって費用は大きく変動するため、あらかじめ相場を把握しておくことが、資金計画を立てる上で非常に重要です。

ここでは、代表的な介護リフォームの工事内容と、その費用相場について解説します。

ただし、表示する費用はあくまで一般的な目安であり、使用する建材や設備のグレード、住宅の構造によって変動することを念頭に置いてください。

詳細な金額については、必ず複数のリフォーム業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

工事内容	費用相場	主な工事の詳細
手すりの設置	1箇所あたり 3万円～10万円	廊下、階段、玄関、トイレ、浴室などへの設置。下地補強工事が必要な場合は費用が加算される。
段差の解消	5万円～30万円	敷居の撤去、スロープの設置、床のかさ上げなど。工事範囲によって費用は大きく変動。
床材の変更	1畳あたり 1万円～5万円	滑りにくい素材への変更（クッションフロア、コルクタイルなど）。車椅子対応の耐久性が高い素材は高価になる傾向。
扉の交換	1箇所あたり 10万円～25万円	開き戸から引き戸や折れ戸への交換。車椅子の出入りがしやすくなる。壁の工事が必要な場合は高額になる。
トイレの改修	20万円～60万円	和式から洋式への交換、手すりの設置、扉の交換、スペースの拡張など。便器のグレードによっても変動。
浴室の改修	80万円～200万円以上	ユニットバスへの交換、手すりの設置、床の段差解消、扉の交換、浴室暖房乾燥機の設置など。在来工法かユニットバスかで費用が大きく変わる。
玄関・アプローチの改修	10万円～50万円	スロープの設置、手すりの設置、踏み台（式台）の設置など。屋外工事のため、基礎工事の有無で費用が変動。
間取りの変更	50万円～数百万円	壁の撤去・新設、部屋の拡張など。大規模な工事になるため、設計費用なども含めて高額になることが多い。

これらの費用は、あくまで個別の工事を行った場合の目安です。

複数の工事を同時に行うことで、足場代や人件費などを効率化でき、トータルコストを抑えられる可能性もあります。

リフォーム計画を立てる際は、どこに優先順位を置くかを明確にし、予算内で最大の効果が得られるよう、ケアマネジャーやリフォーム業者と十分に相談することが大切です。

活用できる補助金や介護保険制度

介護しやすい家にリフォームする際には、経済的な負担を軽減するために、公的な補助金や介護保険制度を積極的に活用することが非常に重要です。

これらの制度をうまく利用すれば、リフォーム費用を大幅に抑えることが可能になります。

ここでは、代表的な制度である介護保険の「住宅改修費」と、地方自治体が独自に行っている補助金制度について解説します。

介護保険の住宅改修費

要支援1・2、または要介護1～5の認定を受けている方が、現在の住まいをリフォームする際に利用できる制度です。

在宅での自立した生活を支援することを目的としています。

支給限度額:
支給限度基準額は20万円です。このうち、所得に応じて自己負担額（1割～3割）を差し引いた金額（最大18万円）が支給されます。
対象となる工事:
対象となる工事は定められており、主に以下の6種類です。
1. 手すりの取り付け
2. 段差の解消
3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
4. 引き戸等への扉の取替え
5. 洋式便器等への便器の取替え
6. その他これらの各工事に付帯して必要となる工事
申請の流れ:
利用するには、工事を始める前に市区町村への事前申請が必要です。まず担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、専門家のアドバイスを受けながら改修プランを立てます。その上で、ケアマネジャーが作成する「住宅改修が必要な理由書」などの必要書類を揃えて申請し、承認を得てから工事を開始、完了後に費用を請求するという流れが一般的です。

注意点として、20万円の支給限度額は原則として生涯のものです。

ただし、転居した場合や、介護の必要度が著しく高くなった場合（3段階以上上昇）には、再度20万円までの利用が可能になることがあります。

地方自治体の補助金・助成金制度

お住まいの市区町村によっては、介護保険の制度とは別に、独自の補助金や助成金制度を設けている場合があります。

例えば、「高齢者住宅リフォーム助成事業」や「障害者住宅改造費助成」といった名称で実施されていることが多いです。

これらの制度は、自治体によって内容が大きく異なります。

対象者、補助対象となる工事の範囲、補助金の額、所得制限の有無などがそれぞれ定められています。

介護保険の住宅改修費と併用できる場合もあるため、リフォームを計画する際には、まず市区町村の高齢者福祉担当課や障害者福祉担当課の窓口、あるいは公式ウェブサイトで情報を確認することが不可欠です。

制度を最大限に活用するために、ケアマネジャーやリフォーム業者にも相談してみると良いでしょう。

信頼できるリフォーム業者の選び方

介護しやすい家にリフォームする計画が具体的になってきたら、次に重要になるのが、その計画を形にしてくれるリフォーム業者をどう選ぶかという点です。

リフォームの成否は、業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。

特に介護リフォームは、一般的なリフォームとは異なり、住む人の身体状況や将来の変化を見据えた専門的な知識と経験が求められます。

ここでは、信頼できる業者を見極めるためのポイントをいくつか紹介します。

介護リフォームの実績が豊富か

まず確認すべきは、その業者が介護リフォームやバリアフリー工事の実績をどれだけ持っているかです。

会社のウェブサイトで施工事例を確認したり、直接問い合わせて過去にどのような工事を手がけてきたかを聞いてみましょう。

実績が豊富な業者は、様々なケースに対応してきた経験から、ご家族の状況に合わせた的確な提案をしてくれる可能性が高いです。

専門的な資格を持つスタッフがいるか

介護リフォームには、医療・福祉・建築の幅広い知識が求められます。

そのため、以下のような専門資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも、業者選びの重要な判断基準となります。

福祉住環境コーディネーター: 高齢者や障害者が安全で快適に暮らせる住環境を提案する専門家です。
理学療法士・作業療法士: ご本人の身体機能や日常生活動作を評価し、リハビリの観点から必要な改修をアドバイスできる専門家です。
建築士: 住宅の構造を理解し、安全性や耐久性を考慮した設計・施工ができます。

これらの資格者がいる業者は、より専門的な視点からリフォームプランを検討してくれるでしょう。

丁寧なヒアリングと具体的な提案力

良い業者は、契約を急がせることなく、まずご家族の話をじっくりと聞いてくれます。

ご本人の身体状況、日常の動線、介護する方の悩みなどを丁寧にヒアリングし、それに基づいた具体的な提案をしてくれるはずです。

「なぜこの工事が必要なのか」「将来的にどのような変化が考えられるか」といった点まで分かりやすく説明してくれる業者であれば、信頼できるパートナーとなり得ます。

見積もりの明確さ

複数の業者から相見積もりを取ることは必須です。

その際、単に金額の安さだけで判断してはいけません。

見積書の内容が詳細で明確かどうかが重要です。

「工事一式」といった大雑把な記載ではなく、使用する建材や設備のメーカー名・型番、数量、単価、工事費などが細かく記載されているかを確認しましょう。

不明な点について質問した際に、誠実に答えてくれるかどうかも大切な見極めポイントです。

アフターサービスや保証の充実度

リフォームは、工事が終わればすべて完了というわけではありません。

実際に住んでみてから不具合が見つかることもありますし、ご本人の身体状況の変化に合わせて追加の改修が必要になることもあります。

工事後の保証期間や、定期的な点検、急なトラブルへの対応など、アフターサービスの内容が充実している業者を選ぶと、将来にわたって安心です。

これらのポイントを参考に、じっくりと時間をかけて、ご家族にとって最良のパートナーとなるリフォーム業者を選んでください。

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場所別で見る介護しやすい家にリフォームの具体例

◆この章のポイント◆

【場所別】リフォームのポイント
安全な移動を支える手すりの設置
転倒リスクを減らすための段差解消
介助の負担を軽くするトイレの改修
ヒートショック対策と浴室の安全
介護動線を考えた間取りの工夫

介護しやすい家にリフォームするといっても、具体的にどこをどのように変えれば良いのでしょうか。

家の中には、高齢者にとって危険な場所や、介助がしにくい場所が数多く潜んでいます。

この章では、特にリフォームの優先度が高い「玄関」「廊下・階段」「トイレ」「浴室」「寝室」といった場所別に、具体的なリフォームのポイントを詳しく解説していきます。

ご自宅の状況と照らし合わせながら、どこから手をつけるべきか考えてみましょう。

【場所別】リフォームのポイント

家の中のそれぞれの場所には、特有の危険性や介助の難しさがあります。

そのため、場所ごとの特性を理解し、適切なリフォームを行うことが、安全で快適な在宅介護の実現につながります。

ここでは、特に重要な5つの場所を取り上げ、それぞれのリフォームで押さえるべきポイントの概要を見ていきます。

以降の項目で、それぞれのポイントをさらに深掘りして解説しますので、まずは全体像を掴んでください。

玄関・アプローチ:
家の出入り口である玄関は、段差が多く転倒の危険が高い場所です。スロープや手すりを設置し、安全な動線を確保することが重要です。
廊下・階段:
家の中の移動経路となる廊下や階段は、毎日の生活で必ず通る場所です。手すりの設置や段差の解消、足元の明るさの確保がポイントとなります。
トイレ:
トイレは、立ち座りや移乗など、転倒のリスクが高い動作が多い場所です。手すりの設置やスペースの確保、和式から洋式への変更が基本となります。
浴室:
滑りやすく、温度差によるヒートショックの危険もある浴室は、最も注意が必要な場所の一つです。段差解消、手すりの設置、滑りにくい床材への変更、暖房設備の導入などが求められます。
寝室・居室:
一日の多くの時間を過ごす寝室や居室は、プライバシーを確保しつつ、介護しやすい環境を整えることが大切です。ベッド周りのスペース確保や、トイレへのアクセスのしやすさが鍵となります。

これらの場所に共通して言えるのは、「手すりの設置」「段差の解消」「スペースの確保」という3つの要素が、介護しやすい家にリフォームするための基本となる点です。

それでは、次の項目からそれぞれの場所について、より具体的なリフォーム内容を見ていきましょう。

安全な移動を支える手すりの設置

家の中での転倒事故を防ぎ、自立した移動をサポートするために、手すりの設置は最も基本的かつ効果的なリフォームの一つです。

手すりが一本あるだけで、立ち上がったり、歩行したりする際の安定感が格段に増します。

しかし、ただやみくもに取り付ければ良いというものではありません。

使用する方の身長や身体状況に合わせて、適切な場所と高さに設置することが重要です。

設置が推奨される主な場所

手すりは、特に動作が不安定になりがちな場所に設置します。

玄関: 靴の着脱や上がり框の上り下りの際に体を支えるために、縦手すりやL字型手すりが有効です。
廊下: 伝い歩きをサポートするために、水平な横手すりを設置します。途中で途切れないように連続して設置するのが理想的です。
階段: 昇降時の転倒防止に必須です。利き手側や、壁の両側に取り付けるとより安全性が高まります。
トイレ: 便座からの立ち座りを補助するために、縦手すりやL字型手すりが役立ちます。ペーパーホルダーと一体になったタイプもあります。
浴室: 浴槽の出入り（またぎ動作）、洗い場での立ち座り、移動をサポートするために、浴槽の縁や洗い場の壁に設置します。滑りにくい素材のものを選びましょう。

手すり設置の注意点

手すりを設置する際には、いくつかの重要な注意点があります。

第一に、取り付けの高さです。

一般的に、廊下や階段の横手すりは、床から75～85cmの高さが目安とされていますが、これはあくまで基準です。

実際に使用する方の利き手や、大腿骨の付け根（大転子）の高さに合わせて、最も力を入れやすい位置に調整することが大切です。

第二に、手すりの形状と太さです。

握りやすい太さ（直径3.2～3.6cm程度）で、滑りにくい素材のものを選びましょう。

また、端が衣服に引っかからないように、壁側へカーブしているデザインが安全です。

そして最も重要なのが、壁の強度です。

手すりには大きな荷重がかかるため、石膏ボードなどの弱い壁に直接取り付けると、体重をかけた際に壁ごと抜けてしまい、重大な事故につながります。

必ず壁の内部にある柱や間柱といった下地材に、確実に固定しなければなりません。

下地がない場合は、補強板を取り付けてから手すりを設置する工事が必要になります。

安全に関わる重要な工事ですので、必ず専門の業者に依頼するようにしてください。

転倒リスクを減らすための段差解消

高齢になると、若い頃には気にも留めなかったわずかな段差でも、つまずきや転倒の原因となります。

家の中の段差をなくす「バリアフリー化」は、安全な住環境を作る上で手すりの設置と並んで非常に重要です。

特に、車椅子を使用する場合には、段差の解消は必須の工事となります。

段差が潜む主な場所と解消法

家の中には、意識していないだけで多くの段差が存在します。

段差のある場所	具体的な解消法	ポイント
玄関の上がり框	式台（踏み台）の設置、スロープの設置、手すりの併設	式台は安定感のあるものを選び、固定することが重要。スロープは車椅子利用時に有効だが、十分な長さと緩やかな勾配が必要。
部屋と廊下の間の敷居	敷居の撤去、スリッパーや段差解消プレートの設置	敷居を撤去するのが最も確実な方法。賃貸などで工事が難しい場合は、簡易的な段差解消グッズを活用する。
和室と洋室の境目	床のかさ上げ（レベル調整）、スロープの設置	和室の畳をフローリングに変更する際に、洋室の床の高さと合わせる工事を行う。費用は高額になる傾向がある。
浴室の出入り口	ユニットバスへの交換、すのこの設置	浴室の段差は滑りやすく特に危険。ユニットバスに交換する際に、出入り口の段差をなくす「バリアフリー対応」の製品を選ぶのが理想的。
屋外アプローチ（門から玄関まで）	スロープの設置	屋外のスロープは、雨や雪で滑らない素材を選び、両側に手すりを設置することが望ましい。介護保険の対象外になる場合もあるため要確認。

段差解消工事の注意点

段差を解消するリフォームを行う際には、家全体の構造を考慮する必要があります。

例えば、敷居を撤去した場合、建物の構造によってはドアの建付けに影響が出ることがあります。

また、床のかさ上げ工事は、天井高が低くなる、他の部屋との間に新たな段差が生まれる可能性があるなどのデメリットも考慮しなければなりません。

安易な判断はせず、建築の専門知識を持つリフォーム業者と十分に相談し、最適な方法を選択することが大切です。

リフォームによって、かえって生活しづらくなってしまった、という事態を避けるためにも、慎重な計画が求められます。

介助の負担を軽くするトイレの改修

トイレは、排泄という非常にプライベートな行為を行う場所であり、ご本人の尊厳を守るためにも、できる限り自立して使える環境を整えることが望まれます。

同時に、介助が必要になった場合には、狭い空間での作業が介護者の大きな負担となる場所でもあります。

トイレの改修は、ご本人と介護者、双方にとってメリットの大きいリフォームです。

和式から洋式への交換

もしご自宅のトイレが和式の場合、最優先で洋式への交換を検討すべきです。

和式トイレは、深くかがみ込んでから立ち上がるという動作が必要で、足腰への負担が非常に大きく、転倒のリスクが極めて高いです。

洋式トイレに交換するだけで、立ち座りの負担は大幅に軽減されます。

その際には、温水洗浄便座や暖房便座付きのモデルを選ぶと、清潔を保ちやすく、冬場のヒートショック予防にもつながります。

スペースの確保と扉の変更

車椅子を利用する場合や、介助者が一緒に入る必要がある場合、一般的な広さのトイレでは非常に窮屈です。

可能であれば、隣接する廊下や収納スペースを取り込み、トイレの空間を拡張するリフォームが理想的です。

特に、車椅子が回転できるスペース（直径150cm程度）があると、介助が格段にしやすくなります。

また、一般的な内開きのドアは、中で人が倒れた場合にドアが開けられなくなる危険性があります。

扉を外開きにするか、少ないスペースで開閉できる引き戸や折れ戸に変更することを強く推奨します。

手すりの設置と便器の選択

トイレ内の動作を安全に行うために、手すりの設置は不可欠です。

便座の横に、立ち座りを補助するL字型の手すりや、可動式のアームレストを設置すると良いでしょう。

便器自体も、座面が高い福祉用のモデルや、立ち上がりを検知して自動でフタが開閉・洗浄する機能が付いたものを選ぶと、ご本人の自立をさらに促すことができます。

これらの改修を組み合わせることで、トイレが安全で快適な空間に生まれ変わります。

ヒートショック対策と浴室の安全

浴室は、家の中で最も事故のリスクが高い場所の一つです。

濡れた床での転倒事故に加え、冬場には暖かい居間と寒い脱衣所・浴室との温度差によって血圧が急変動する「ヒートショック」により、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険性があります。

浴室のリフォームでは、これらのリスクを総合的に低減させる対策が求められます。

ヒートショック対策

ヒートショックを防ぐためには、家の中の温度差をなくすことが基本です。

特に、脱衣所と浴室を暖めることが重要になります。

浴室暖房乾燥機の設置: 入浴前に浴室全体を暖めておくことができます。冬場の寒さを和らげるだけでなく、衣類乾燥やカビ防止にも役立ちます。
脱衣所への暖房器具の設置: 小型で安全性の高いパネルヒーターなどを設置し、脱衣所を暖かく保ちます。
窓の断熱化: 浴室の窓から冷気が入り込むのを防ぐため、二重窓（内窓）にしたり、断熱性の高い窓に交換したりするのも効果的です。

転倒防止と安全な入浴のために

濡れて滑りやすい浴室では、転倒防止策が不可欠です。

床材は、水はけが良く、滑りにくい素材のものを選びましょう。

最近のユニットバスは、標準で滑りにくい床材が採用されていることが多いです。

また、浴槽のまたぎ動作、洗い場での立ち座り、浴室内での移動をサポートするために、適切な位置に手すりを複数設置することが重要です。

浴槽も、従来のような深い和式のタイプから、浅めでまたぎやすい洋式の浴槽に交換すると、出入りの際の負担とリスクを軽減できます。

さらに、万が一の事態に備え、浴室の扉は外開きや引き戸にし、緊急時に外からでも開けられるタイプを選ぶと安心です。

シャワーチェアや浴槽内いすといった福祉用具も活用し、安全に入浴できる環境を整えましょう。

介護動線を考えた間取りの工夫

日々の介護をスムーズに行うためには、介護する側とされる側の「動線」を考慮した間取りにすることが非常に重要です。

介護動線とは、介護に必要な一連の動作（例えば、ベッドからトイレへの移動、食事の配膳など）における人の動きの軌跡を指します。

この動線が短く、シンプルであるほど、介護の負担は軽減されます。

寝室とトイレの距離

最も重要なのが、寝室とトイレの位置関係です。

特に夜間、何度もトイレに起きる場合、寝室からトイレまでの距離が長いと、ご本人にとっても介護者にとっても大きな負担となります。

理想は、寝室の近くにトイレがあることです。

大掛かりなリフォームが可能であれば、寝室に隣接して専用のトイレを増設することも選択肢の一つでしょう。

それが難しい場合でも、1階で生活が完結するように、リビングの一角を改修して寝室スペースを作るなど、生活の中心となる場所とトイレを近づける工夫が求められます。

車椅子を考慮した廊下幅と出入り口

将来的に車椅子を使用する可能性があるのであれば、設計段階からそれを考慮しておくべきです。

一般的な住宅の廊下幅（約78cm）では、車椅子がギリギリ通れるかどうかという幅であり、方向転換はほぼ不可能です。

車椅子でスムーズに移動するためには、最低でも85cm以上、理想的には90cm以上の廊下幅が必要とされています。

同様に、部屋の出入り口も有効開口幅が80cm以上あると、ストレスなく出入りできます。

間取り変更を伴うリフォームを行う際には、これらの寸法を確保できるように計画することが、将来の生活を見据えた賢明な判断と言えます。

介護と家族のプライバシーの両立

介護しやすい家にリフォームすることは重要ですが、それによって家族全員の生活の質が損なわれては意味がありません。

例えば、リビングに介護用ベッドを置くと、常に家族の気配が感じられる安心感がある一方で、ご本人のプライバシーが確保しにくかったり、家族がくつろげなかったりする場合があります。

可動式の間仕切りを設置して、必要な時だけ空間を分けられるようにしたり、寝室は個室として確保しつつ、見守りカメラやナースコールを設置して異変にすぐ気付けるようにしたりと、介護のしやすさと家族それぞれのプライバシーを両立させる工夫が大切です。ご家族全員で話し合い、全員が納得できる形を見つけることが、長く快適に暮らしていくための鍵となります。